3Dプリントの関節式ドラゴン:ヒントとコツ


自宅で可動式のドラゴンモデルを作成することが、3Dプリンターによって可能になりました。これらの機械を使えば、オンラインで見かけるような、曲げたりねじったりできる精巧な可動式ドラゴンを自分で印刷できます。基本を理解すれば工程はシンプルで、このガイドでは初めての可動式ドラゴン印刷を成功させるためのステップを解説します。

Instagramより @kibzprinting さんの素晴らしい写真
3Dプリントの可動式ドラゴンが特別な理由
3Dプリントにおいて、可動モデルとは一体成型でありながら、可動部や関節を備えた設計のことを指します。ドラゴンはこのカテゴリで最も人気のあるモデルとなっています。その理由をご紹介します。
組み立て不要
これらのドラゴンは、プリント後すぐに動かすことができます。各部品はあらかじめ設定された小さな隙間でつながっており、それが関節の役割を果たします。首が回転し、翼が折りたたまれ、尾が曲がるために、接着剤や追加パーツは一切不要です。
賢い設計、シンプルなプリント
見た目は複雑でも、これらのモデルは一体型でプリントされます。関節の隙間は、動作に必要な最小限の間隔で設計されており、部品がバラバラにならず動かすことができます。このような巧妙な設計により、複雑で動くモデルの一体プリントが可能になります。
自由自在なポージング
それぞれのドラゴンは、おもちゃとしてもアート作品としても使えます。翼を広げて飛行ポーズ、尾を曲げてバランス調整、頭を回して表情をつけるなど、自由に動かすことでドラゴンの個性を引き出せます。
可動式ドラゴンの3Dプリントに最適なプリンターと素材
ドラゴンモデルに適した2種類のプリンター
1. FDMプリンター:大型ドラゴンに最適
可動式ドラゴンの制作には、FDMプリンターが非常に適しています。さまざまなサイズのモデルに対応可能で、滑らかな仕上がりと強力なレイヤー接着を実現します。大型の造形エリアを持ち、小型のデスク用装飾から壁面アートまで幅広く対応可能です。
2. SLAプリンター:ミニサイズドラゴンに最適
SLAプリンターは、5インチ未満の小さくて非常に精密なドラゴンモデルを作るのに最適です。価格は高く、造形エリアも小さいですが、鱗や爪、関節の細部までリアルに再現できます。ミニチュアを収集する愛好家や、精巧な展示用作品を求める方に最適です。
可動式ドラゴンに最適な素材
1. PLA:精密なディテールに最適
PLAは扱いやすく、高品質なプリントを実現します。豊富なカラーバリエーションがあり、細かいディテールもくっきり表現可能なため、ドラゴン装飾品に最適です。形状保持性にも優れており、正確な関節機構に適しています。
2. PETG:可動部品に最適
PETGは、耐久性に優れた可動関節を持つドラゴンモデルの作成に適しています。強力なレイヤー接着により、使用中に部品が外れるのを防ぎ、柔軟性があるためスムーズな関節動作が可能です。頻繁に動かしても壊れにくい素材です。
3. ABS:耐久性に最も優れる
最も耐久性の高いドラゴンモデルには、ABSが使用されます。高温にも強く、長期使用にも耐えられるため、頻繁に触れられる用途に最適です。研磨や塗装も可能で、完成度の高い展示作品としても仕上げることができます。
プロのヒント:最初の数体はPLAでプリントするのがオススメです。印刷に慣れてきたらPETGでより耐久性の高いモデルに挑戦し、最大の強度と耐熱性が必要な場合はABSを使用しましょう。

QIDI X-MaxにてNicole Grein氏がプリント
可動式ドラゴンの3Dモデルを探すには
Cults3D:高品質なドラゴンが豊富
Cults3Dには350以上の可動式ドラゴンデザインが登録されており、革新的で実績のあるモデルが多数揃っています。質の高い厳選コレクションと活発なクリエイターコミュニティが特長です。
- FlexiFactoryのインペリアルドラゴン($3.95):連動スパイクと4分割構造で様々なプリントベッドサイズに対応。一体印刷でサポート不要、関節も綿密に設計されています。
- Divine3DDesignのマジェスティック・シードラゴン($3.50):26インチサイズで、下顎のスナップイン構造と細かなスケールが特長。大型プリントにもサポート不要です。
- Cinderwing3Dのジェムストーンドラゴン($4.00):背骨に沿ったクリスタル構造が特徴的なユニークなデザイン。マルチカラーのフィラメント印刷に最適です。
MyMiniFactory:コミュニティ主導のプラットフォーム
MyMiniFactoryは、厳格なモデルテストと検証で差別化されています。各ドラゴンモデルはプラットフォームに掲載される前にテスト印刷されます。
- ● Bearded Printerのパイライトドラゴン($4.95):幾何学的なローポリデザインで、全身に結晶状のスケールを備えています。金やアイスブルーのシルクPLAで印刷すると見栄えが抜群です。
- ● McGybeerの可動式ドラゴン($3.99):精密な鱗と表情豊かな顔を持つ東洋風の見事なドラゴン。可動する体により、物に巻き付けたり立ち上がったりできます。
Thingiverse:無料ドラゴンコレクション
Thingiverseは、初心者や試作に最適な無料の可動式ドラゴンモデルが最大級で揃っています。
- 7FishのLung 東洋風可動式ドラゴン:緻密な鱗、美しい角、可動式の体を持つ荘厳な東洋風ドラゴン。(解像度0.15〜0.2mm、インフィル10%)
- P1lotzのマジカル可動式ドラゴン:緻密な鱗を持ち、完全に可動するボディで、巻き付けたり伸ばしたりできます。
- kimseungwoo11の可動式フレイムドラゴン:炎のような鱗が特徴の迫力あるデザイン。オレンジやグリーンの鮮やかなプリントがディテールとスムーズな動きを際立たせます。
Printables:印刷品質の信頼性
Printablesは、印刷テスト済みのモデルと詳細なドキュメントに重点を置いています。各モデルには製作者の写真と具体的な印刷設定が含まれており、信頼できる成果が得られます。
- Wojtiのニーズヘッグ:蛇のような可動性と詳細なスケーリングを持つ修士論文プロジェクト。
- kh4rj0の可動式ボーンドラゴン:鋭い骨状の突起を持つ骨格風デザイン。恐ろしくも優美な一体型印刷モデルです。
MakerWorld:拡大中のドラゴンコレクション
MakerWorldは、可動式ドラゴンの人気プラットフォームとして成長中で、無料および有料デザインの両方を提供しています。報酬制度が高品質な投稿とアクティブなコミュニティを促進しています。
- Saber3Dの可動式クリスタルドラゴン:鋭い結晶状の突起を備えた華やかなデザイン。メタリックやシルク系フィラメントとの相性抜群。
- 8BitTitanのLONG(約60インチ)可動式ボーンドラゴン:最大60インチにおよぶ巨大な骨格風ドラゴン。細かく作り込まれた骨のようなパーツが連なった全身可動デザイン。
STL Finder:包括的な検索エンジン
STL Finderは、様々なソースからドラゴンモデルを集約するプラットフォームとして機能します。以下のような用途に最適な出発点です:
- プラットフォーム間で類似デザインを比較
- 特定のドラゴンスタイルを検索
- 新しいデザイナーを発見
3DPTK:ドラゴン特化セクション
3DPTKには、可動式ドラゴン専用の専用セクションがあります。このプラットフォームでは以下の特徴があります:
- マルチパーツのドラゴンデザイン
- ドラゴンの卵コレクション
- 各モデルに対応する詳細な印刷設定
どのプラットフォームからダウンロードする際も、モデルの真正性を確認し、最近のユーザーによる印刷例をチェックして成功率を高めましょう。一部のプラットフォームでは無断共有の問題も報告されています。
可動式ドラゴンを印刷するための3Dプリンター設定方法
1. レイヤー高さを0.1~0.2mmに設定
可動式ドラゴンを印刷する際には、レイヤー高さを0.1〜0.2mmに設定することが重要です。0.1mmの細かい設定は、関節部分のスムーズさと細部の再現に最適です。印刷速度を優先する場合は、0.2mmに設定しても構いませんが、ディテールが若干損なわれる可能性があります。
2. 印刷速度を40〜60mm/sに調整
最適な結果を得るには、印刷速度を40〜60mm/sに設定しましょう。特にディテールの多い部分は40mm/s前後の低速で印刷するのがおすすめです。これにより精度が保たれ、細かいパーツも正確に再現されます。
3. ノズル温度を190〜210°Cに設定
PLAフィラメントを使用する場合、ノズル温度は190〜210°Cに設定します。200°Cあたりから始めて、フィラメントの挙動を見ながら調整しましょう。ストリングや押出不足を防ぐために、温度の微調整が重要です。
4. 最初のレイヤー速度を落として密着性を高める
ベッドへの密着性を高めるために、最初のレイヤーの速度は約20mm/sに設定しましょう。このスピードはプリントの土台をしっかり作るために効果的です。特に可動モデルでは、最初のレイヤーが関節精度に直結します。
5. 正確なベッドレベリングを行う
正しいベッドレベリングは、良好な密着性とモデル形状の維持に重要です。特に可動式モデルでは、初層が正確であることが成功の鍵となります。
- プリンターのホーム設定:操作パネルでノズルをホームポジションに移動します。
- モーターを無効化:ステッパーモーターを無効にして、ノズルとベッドを手動で動かせるようにします。
- 四隅の確認:ノズルを各コーナーに移動させ、ノズルとベッドの間に紙を挟んで抵抗を感じるまでネジを調整します。
- 中央の調整:ベッド中央でも同じ工程を繰り返し、全体の均一なレベリングを確保します。
6. 接着補助剤を使って密着性を向上
レベリング完了後、スティックのりやヘアスプレーを薄く塗布することで、さらにベッドへの密着性を高めることができます。これにより第一層がしっかり固定され、印刷の成功率が大きく向上します。
7. 本番前にテスト印刷を実行
本番の印刷に入る前に、小さなテストモデルで設定確認を行いましょう。設定ミスや不具合を早期に発見でき、時間と材料の無駄を防ぐことができます。

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3Dプリントされた可動式ドラゴンの後処理テクニック
1. サポート材を丁寧に除去
可動式ドラゴンの印刷が完了したら、まずはサポート材の除去です。ペンチやピンセットを使って慎重に引き剥がし、モデル本体を傷つけないように注意しましょう。狭い場所や細かい部分にはカッターナイフを使うと正確に除去できます。
2. 必要に応じて組み立て
サポート除去後、モデルが複数パーツに分かれている場合は、正確に位置を合わせて接着剤(瞬間接着剤やエポキシ)で固定します。各関節がスムーズに動作するよう、丁寧に組み立てることが大切です。
3. 表面を研磨して滑らかに
ドラゴンの掃除と組み立てが完了したら、外観を向上させるために表面を研磨しましょう。まずは粗目のサンドペーパーで目立つ積層跡やザラつきを処理し、徐々に細かい目の紙やすりに切り替えて滑らかに仕上げます。ABSで印刷した場合は、アセトン蒸気によるスムージングを行うことで、表面を溶かして光沢のある外観にすることも可能です。
4. ドラゴンを塗装して細部を強調
塗装を施すことで、ドラゴンの印象をさらに高めたり、自分だけの個性を加えることができます。アクリル塗料は使いやすくカラーバリエーションも豊富なのでおすすめです。まずは選んだ色でベースコートを塗り、その後小さな筆を使って細部やハイライトを加えましょう。広い面にはエアブラシを使うことで、より滑らかな仕上がりやグラデーション効果も楽しめます。
5. クリアコートで塗装を保護
塗装が完全に乾いたら、クリアコートまたはニスを塗って保護します。この工程は、塗料を定着させ、見た目の美しさと耐久性を高めるために重要です。

3Dプリント可動式ドラゴンプロジェクトを完成させよう!
創造力と技術を組み合わせたい方にとって、可動式ドラゴンの3Dプリントは楽しくやりがいのある趣味です。本ガイドで紹介したプリンターの設定、よくあるトラブルの対処法、そして後処理のコツをしっかり押さえることで、あなたのドラゴンデザインが見事に形になります。さまざまな素材やスタイルにも挑戦してみてください。一つひとつの工程に注意を払い、完成度の高い、動きも美しさも兼ね備えたドラゴンを作り上げましょう。時間と練習を重ねれば、遊び用にも展示用にもぴったりな、世界に一つだけの可動式ドラゴンを作れるようになります。