複数の色を 3D プリントするにはどうすればいいですか?


マルチカラー3Dプリントは、より美しいプリントを実現します。カラープリントはプロトタイプの鮮明度を高め、製品の視認性を高め、より魅力的なデザインの作成を可能にします。プリントに会社のロゴを追加したり、モデルのパーツを差別化したり、単に見た目を良くしたい場合、カラープリントは便利です。通常の3Dプリントよりも手間はかかりますが、効果的な方法がいくつかあります。このチュートリアルでは、マルチカラープリントの様々な方法を紹介します。

方法1:フィラメントの交換(手動またはGコードによる)
手動 vs Gコードでのフィラメント交換
最も手軽に複数色で印刷する方法は、フィラメントの交換です。これは2通りあり、印刷を途中で手動で止めてフィラメントを交換する方法と、Gコードに特定位置で停止させるコマンドを挿入する方法です。どちらの方法も、一般的なシングルノズルの3Dプリンターで使用できます。
フィラメントカラーの変更方法
この作業はスライサーソフトウェア上でモデルを準備するところから始まります。どのレイヤーを何色にするかを決め、手動で交換する場合はそのレイヤーでプリンターを一時停止させます。自動交換の場合は、M600 などのコマンドをGコードに挿入し、プリンターが自動で停止するようにします。
交換のタイミングになると、プリンターが一時停止します。古いフィラメントを取り外し、新しい色のフィラメントを挿入し、前の色が完全に消えるまで押し出してパージします。このパージ工程により、色の混ざりを防ぎます。
主なメリット
フィラメント交換によるマルチカラー印刷のメリット:
- 現在使用中のプリンターですぐに始められる
- 操作が簡単で練習しやすい
- 追加の機材が不要
- Gコードを使えば毎回安定した結果が得られる
よくある課題
この方法は簡単ですが、いくつか注意点もあります:
- 手動での交換には時間がかかり、作業中に常に見ておく必要がある
- 色を変えるたびに、うまく行かないリスクがある
- 基本的に層ごとの色変更しかできない(横方向の色分け不可)
- 毎回のパージでフィラメントが少し無駄になる
必要な準備
基本的な準備は以下の通りです:
- シングルノズルの一般的な3Dプリンター
- レイヤー高さを調整できるスライサーソフトウェア
- 自動色変更の場合、Gコード編集に対応したスライサー
マルチカラー印刷が初めての場合、この方法から始めるのがおすすめです。手間はかかりますが、新たな設備投資なしに色付きの印刷を試すことができます。
方法2:デュアル押出(独立型または混合型)
デュアル押出機のタイプ
デュアル押出機付きのプリンターは、2つの異なるフィラメントを使用できる2つのヘッドを備えています。一般的なのは、両方のヘッドが一緒に動く通常のデュアル押出方式と、IDEX(独立型デュアル押出)システムのように個別に動くものです。中には色を混ぜることができると謳っているものもありますが、実際には2色を分けて使う方が効果的です。
デュアル押出による印刷のセットアップ
2色印刷には、デュアル押出に対応した専用のスライサーソフトが必要です。ソフト上でモデルの各部分に色を割り当て、使用するフィラメントの温度帯や素材の相性にも注意が必要です。また、パージタワー(ノズルの色切り替え時に不要フィラメントを吐き出す構造物)も必要になります。
主なメリット
デュアル押出によるマルチカラー印刷のメリット:
- 色の切り替えが自動で行われる(手動作業不要)
- プリントの中断がないため仕上がりが早い
- 層ごとではなく、隣接する2色の同時印刷が可能
- 一方のノズルで水溶性サポート材を印刷できる
技術的な課題
一方で以下のような技術的課題もあります:
- デュアル押出機プリンターは価格が高め
- 部品が多いため、メンテナンスや調整が必要
- 2種類のフィラメントの温度・素材の相性に注意が必要
- 設定が不適切だと色がにじむことがある
- 2つのノズルの位置合わせが重要で、ズレると印刷精度が落ちる
必要な準備
デュアル押出印刷を始めるには、以下が必要です:
- 2つの押出機を備えたプリンター
- デュアル押出用に設計されたスライサーソフトウェア
- 2つのフィラメントスプールを管理する手段(必須ではないが便利)
デュアル押出印刷は、フィラメント交換よりも多彩な色を扱えますが、より高価な設備と慎重な設定が必要です。頻繁にマルチカラー印刷を行う場合や自動化を重視する場合には検討の価値があります。
方法3:マルチマテリアル/マルチ押出システム(上級者向け)
マルチマテリアルシステムの2つのタイプ
高度なマルチカラー印刷では、フィラメントスライサーかマルチ押出プリンターを使用します。スプライサー(例:Mosaic Palette)は異なる色のフィラメントを1本に繋いで印刷します。マルチ押出プリンターは3本以上のノズルで複数色を印刷できます。
マルチマテリアルプリンターの操作
フィラメントスライサーは印刷指示に基づいて異なる色のフィラメントをカット&結合し、1本の多色ストランドをプリンターに供給します。マルチ押出プリンターはノズルを切り替えて印刷を行います。いずれの方式も、色配置や材料変更を制御するための特別なスライサーソフトが必要です。
主なメリット
これらの高度なシステムの利点は以下の通りです:
- 1つのモデルで複数色を使用可能
- 柔軟な素材と硬質素材を同時に印刷可能
- 一度印刷を開始すれば自動で完了
- 複雑なカラーグラデーションやパターンの作成が可能
主な課題
以下のような欠点もあります:
- 基本プリンターに比べて装置価格が非常に高い
- スプライサーは材料を結合する際に無駄が出る
- 複雑なセットアップと定期メンテナンスが必要
- すべての素材がうまく組み合わせられるわけではない
- システム習得に時間がかかる
必要な設備
このシステムを使用するには以下が必要です:
- フィラメントスプライサーまたはマルチ押出プリンター
- マルチマテリアル印刷用のスライサーソフトウェア
- フィラメントを乾燥状態で保管するための保管ボックス(強く推奨)
マルチマテリアルシステムは最も自由度が高い印刷方法ですが、それを活用するには時間、コスト、技術が必要です。多色や異素材を1つのモデルに使用する複雑なプロジェクトに最適です。
方法4:後処理による着色(塗装、染色)
基本的な塗装工程
モデルを白など単色で印刷した後に、塗料・染料・マーカーで着色する方法です。この方法なら、特別な印刷機材を購入しなくても、仕上がりを自由にコントロールできます。
塗装のステップバイステップガイド
基本的な塗装手順は以下の通りです:
- 表面を研磨し、粉塵を除去
- 塗料の密着性を高めるためプライマーを塗布
- 筆、スプレー、エアブラシで着色
- マスキングテープやステンシルで境界線を整える
- 保護のためクリアコートを仕上げに塗布
塗装の魅力
塗装であれば、高価な設備を使わずに色のコントロールが可能です。一般的な塗料を使うため、必要な色を自由に混色して正確に塗布できます。特定の色指定や細かいデザインが必要なカスタム作品に最適です。
塗装時の課題
手作業による塗装はマルチカラー印刷より時間と労力がかかります。塗料は表面にしか付かないため、剥がれやすいこともあります。均一な仕上がりを出すには練習が必要で、乾燥時間も考慮する必要があります。
必要な道具
塗装に必要な道具は以下の通りです:
- 標準的な3Dプリンター
- サンドペーパー(複数の番手)
- プライマー
- 筆やスプレー塗料
- マスキングテープ
- 透明な保護コーティング剤
3Dプリント初心者には、塗装は機材を買い足さずに色を加える最も手軽な方法です。根気と慣れは必要ですが、結果次第では高級設備にも劣らない仕上がりが得られます。

あなたに合ったマルチカラー3D印刷の方法を選びましょう!
3Dプリントに色を加える各手法にはそれぞれ特徴があります。フィラメント交換は入門者や低価格機に最適。デュアル押出は同じことを自動で行いますが費用がかかります。マルチマテリアルは最も柔軟ですが、その分投資も必要。塗装は高精度で、設備も不要ですが練習が必要です。まずはシンプルな方法から始め、必要に応じて段階的に拡張していくのが良いでしょう。