TPUを使用した柔軟なコスプレ用アーマーのプリント方法
なぜコスプレ防具にTPUなのか
2年前のイベントで、私はPLA製のマンダロリアンの胸部プレートを装着していました。ところが、ドアの枠にぶつけた拍子に積層ラインに沿って割れてしまったのです。接着剤で修理しましたが、その日の写真はどれも修復跡が目立ってしまいました。
TPUならそんなことは起きません。衝撃を吸収し、ぶつかってもしなり、すぐに元の形状に戻ります。常に人と接触し、パネル展示で椅子に座り、防具をバッグに詰め込んで移動するような混雑したイベント会場において、TPUは生き残り、PLAは壊れます。
また、TPUは体の動きに追従します。膝、肘、首のシールなど、関節を覆うパーツは動きに合わせて曲がる必要があります。硬いPLAやPETGでは動きが制限されるか、固定箇所から外れてしまいます。TPUなら自然に曲がります。ヘルメット部分などの変形しない箇所には依然として硬い素材が適していますが、首から下のあらゆるパーツは柔軟性の恩恵を受けられます。

ショア硬度の選び方
TPU 95A は基本となる選択肢です。半硬質で自重でも形状を維持し、PETGと同じくらい簡単にプリントできます。胸部や肩、太もものガードなど、形状維持が必要だが衝撃には耐えてほしい防具プレートに適しています。
85A はより柔らかい素材です。関節部やアンダースーツ、肌に直接触れるパーツに向いています。柔らかいため、8時間を超えるイベントでの着用でも擦れを防げます。ダイレクトドライブ方式のエクストルーダーと、15〜25 mm/s程度の低速プリントが必要ですが、快適さを重視するパーツにはその価値があります。
PEBA は次世代の選択肢です。TPUより15〜20%軽く、反発弾性に優れ、耐温性(-40°C〜+80°C)も広いです。長時間着用する場合、数グラムの軽量化が大きな差になります。高価で入手しにくいですが、全身装備を自作するなら検討に値します。
TPU Aero は、プリント中に発泡して密度を大幅に下げる軽量化フォーミュラです。複数のセットを制作する場合や、表面積の大きなパーツをより快適に着用したい場合に適しています。
また、colorFabb社のvarioShore TPUのような、温度によって発泡率を変えられる素材もあります。190~200°Cでは通常の92A TPUとして出力され、200~250°Cでは最大1.6倍に膨張し、密度を下げつつショア硬度55Aまで柔らかくなります。大型の防具プレートをEVAフォームのような質感で仕上げたい場合に最適です。
プリント設定の目安
| 設定項目 | 95A 防具プレート | 85A 関節パーツ |
|---|---|---|
| プリント速度 | 25–40 mm/s | 15–25 mm/s |
| ノズル温度 | 225–235°C | 220–230°C |
| ベッド温度 | 50–60°C | 40–50°C |
| リトラクション | 0.5–2 mm, 15 mm/s | 0.5–1 mm, 10 mm/s |
| 積層ピッチ | 0.15–0.2 mm | 0.1–0.15 mm |
| 冷却ファン | 100% | 100% |
TPUはサンディング(やすり掛け)ができないため、コスプレ制作では積層ピッチが非常に重要になります。やすりをかけると表面が毛羽立ってしまい、滑らかになりません。プリントされた積層ラインがそのまま塗装の仕上がりに直結します。目立つ表面は0.1mm、内側や隠れる部分は0.2mmで時間を節約するのがおすすめです。
Plus4 は、大型のTPU防具も快適にプリントできます。305mmのビルドボリュームがあれば、ほとんどの胴体パーツを分割せずにプリント可能です。プリント前には必ずTPUを乾燥させてください。湿ったフィラメントは糸引きや気泡の原因となり、見た目が命のコスプレパーツを台無しにします。
硬質素材と柔軟素材の組み合わせ
最高のコスプレ防具は、TPUだけ、あるいはPLAだけでできているわけではありません。両方の組み合わせです。ヘルメットや主要な構造プレートには硬いPLAやPETGを使い、関節やコネクタ、曲がる必要がある箇所にTPUを採用します。
別々にプリントして機械的に組み立てるのがベストです。TPUとPLAは化学的に接着しにくいため、マルチマテリアルプリントは難易度が高いからです。最新のCuraにはインターロッキング(噛み合わせ)構造機能もありますが、スナップやバックルで接続する方がシンプルで確実です。
TPUの塗装とウェザリング
標準的なアクリル塗料は、TPUの柔軟性に耐えられずひび割れて剥がれてしまいます。柔軟な表面に対応した塗料が必要です。
コスプレコミュニティでの一番のおすすめは「Angelus(アンジェラス)レザーペイント」です。もともと靴用に開発された水性アクリル塗料で、乾燥後もしなやかさを保ち、エアブラシでの薄塗りも可能です。一度に厚塗りせず、薄く何度も塗り重ねるのがコツです。
「Plasti Dip(プラスティ・ディップ)」をゴム製のベースコートとして使うのも有効です。積層ラインをある程度埋め、塗料の食いつきを良くしてくれます。2層のPlasti Dipの後にAngelusで仕上げることで、耐久性のある柔軟な仕上げが可能になります。
ウェザリング(汚し塗装)
ウェザリングこそが、プラスチックを本物の防具に見せる魔法です。
アクリルウォッシュ:黒や茶色のアクリル塗料を水で1:5に薄め、表面全体に塗った後、布で凸部分を拭き取ります。薄まった塗料が溝やパネルラインに残り、深みと影が生まれます。
ドライブラシ:平筆に銀色などのメタリック塗料を少量つけ、キッチンペーパーでほとんど拭き取ります。そのカサカサの筆でエッジや角を軽くこすると、金属が擦れたような質感が生まれます。表面仕上げガイドや後処理オーバービューでは、硬質パーツのサンディングやコーティングについても解説しています。
防具の装着方法
以下の3つの方法が効果的です:
ベルクロ(マジックテープ):最も汎用性が高いです。防具の内側にオス側、アンダースーツにメス側を縫い付けます。位置調整がしやすく、洗濯も簡単です。
スナップボタン:強力なスナップを接着剤(シューグーなど)で防具に固定し、反対側をスーツに取り付けます。激しく動いても位置がズレにくく、プロのような仕上がりになります。
バックルとナイロンベルト:太ももや肩、ベルト周りのアイテムに適しています。サイズ調整が容易で、休憩時にすぐに緩められるのが利点です。
イベントを乗り切るコツ
TPU防具の最大の利点は「輸送中に壊れない」ことです。丸めてバッグに詰め込んでも元の形に戻ります。PLA製なら、専用の緩衝材ケースに入れなければ粉々になって届くリスクがあります。
また、多くのイベントでの武器・小道具チェックにおいても、TPUの柔らかさは有利に働きます。スタッフが触れて「柔らかい」と分かれば、周囲への危険が少ないと判断されやすくなります。尖った角も、TPUなら接触時にしなるため安全です。
衣装内部の通気性にも注意してください。イベント会場は熱気が凄まじいです。TPUの柔軟性を活かして、構造に影響しない範囲で目立たない通気孔を設けることをお勧めします。
無料のSTLデータを探しているなら、Printablesの「GamerForge's Mandalorian set」などが有名です。関節部はTPU、メインプレートはPLAで作り分けると良いでしょう。その他のTPU活用法については、TPUスマホケースガイドや家具の足カバーガイドも参考にしてください。硬質ABSパーツの表面を滑らかにするならアセトン平滑化ガイドも役立ちます。フィラメントラインナップから最適な素材を見つけてください。
よくある質問
TPU防具はEVAフォームより重いですか?
はい、重いです。TPUの密度は約1.2 g/cm³ですが、高密度EVAフォームは約0.086 g/cm³です。大型パーツを全身に纏うと、一日の終わりにはその重さを実感するでしょう。大きなパネルにはEVAフォームや軽量PLAを使い、可動部やコネクタにTPUを使うのが賢明なバランスです。発泡タイプのvarioShore TPUを使えば、その差を縮めることができます。
TPUを滑らかに削ることはできますか?
実質的には不可能です。TPUはやすりの下で逃げてしまい、削れずに表面が荒れるだけです。最初から0.1mmなどの細かい積層でプリントし、柔軟性のあるプライマーやPlasti Dipで積層跡を埋めるのが最善の方法です。
TPU同士を接着するには?
「シューグー(Shoe Goo)」などの柔軟性のあるウレタン接着剤が最適です。瞬間接着剤は、TPUが曲がった時に剥がれやすいためお勧めしません。機械的な結合や、革用の針を使って布に縫い付ける方法も確実です。
Q2
Plus 4
QIDI Box
Q1 Pro
X-Max 3